『無音の音声』 〜梵声から声の概念、世界の声の美学、ヒトの声の可能性を探る〜
・古代インドのシャブダブラフマンのイデーを主軸に人が「声」と呼んだあらゆる事象をとりあげ読み解いてゆく。また著者の発声学会での研究や発声訓練教師としての経験を活かし人の声に自在性をもたせるための八つの道を提示しその一つ一つを考察してゆく

1内喉頭筋の強化、解放、神経伝達とバランスの回復
2外喉頭筋(喉頭懸垂機構)の強化、解放、神経伝達とバランスの回復
3呼吸筋の強化、解放、神経伝達とバランスの回復
4構音筋の強化、解放、神経伝達とバランスの回復
5身体性の強化、解放、神経伝達とバランスの回復
6聴く力の回復
7脳力(能力)の開発
8精神の絵画の確立・世界中の様々な民話や神話から声や言葉による世界の創成神話をとりあげる。

また声字実相義、言霊信仰や古代ギリシャのロゴス、出口王仁三郎の言霊思想、竹内文書にある神代文字等もあわせて読みといていく。

・宗教儀礼やシャーマニズムにおける声の重要性を読み解く・量子世界の声(量子力学の科学者の理論とサブダブラフマンのイデーの類似性を探る)(ここではスーパーストリングス理論、テビィットボームの宇宙フォログラフィー理論やルイスキャロルの不思議の国のアリスや鏡の国のアリスをとりあげて量子世界の声を読み解く)

・宇宙の声、惑星の声(ここではケプラーの理論、ピュタゴラスの天球のハーモニーの理論、ゲーテの小説を軸に宇宙の声や惑星の声を読み解く)            

・植物の声、海の声、魚達の声、細胞の声、(声が存在しないと思っている場所にも声のイデーが存在している事を探ってゆく)          

・動物達の声、虫達の声、(動物の声の生理や在り方を探っていく、また生理的にみて声でない虫の羽音を声と呼ぶイデーを読み解く)    

・ヒトの声(音声生理学的側面、音響音声学的側面、17世紀、18世紀の発声訓練からヒトの声の可能性を探ってゆくまた音声学と発声訓練の歴史をみていく)                

・内喉頭筋の強化、解放、神経伝達とバランスの回復のための発声訓練(17世紀、18世紀のカッチーニ、トージ、マンチーニ、の発声訓練から母音の純化や2つのレジスターの分離と強化と再融合またセス、チェザリィ、グロリアによる音響音声学的側面によるサウンドビーム理論と声帯振動の削減いわゆるショートニングの作業について探ってゆくまたフラジオレットレジスター、シュナルレジスターについても探ってゆく)        

・外喉頭筋(喉頭懸垂機構)の強化、解放、神経伝達とバランスの回復(フスラーの生理的側面の考察によるアンザッツ理論より内外喉頭筋の自在性の回復を試みる)            

・呼吸(いき)(呼吸の生理的側面や魚類からヒトにおけるまでの呼吸の進化論から始まり文化的、精神的な呼吸の概念も併せて探っていく。スンドベルィ、プロクター、レオコフラー等による呼吸の生理と生理学的側面による呼吸筋の強化、解放、神経伝達とバランスの回復を腹だしの作術、腹入れの作術、声門下圧、機能的残気量frcカルーソーの呼吸法から探っていく。また禅の呼吸、白隠禅師の内観の法やなんその法、ヨーガのプラーナヤマ、西野流の足心呼吸、調和道丹田呼吸、自彊術、新体道、真向法、ワイル博士の呼吸法、書の呼吸法、水泳の呼吸法とラジニーシについて、剣道の呼吸法、太極拳、能の呼吸、古武術の呼吸、と様々な呼吸の概念について探る。また梁塵秘抄口伝集とベルカントの類似性や第2脳と丹田と骨盤神経叢の関係の仮説と声のための究極の呼吸法と体振動とマスケラとキューゾの技法によるTT先生の超能力丹田発声法について語る)

・構音筋の強化、解放、神経伝達とバランスの回復(いわゆる構音筋が重要視される新劇、新派、新国劇、小劇場、映像、ミュージカルの役者、声優、アナウンサー等の言葉処理と声の問題について語る。話言葉と歌うことの違いについて語る。オペラ、ドイツリート、フランス歌曲のメロディ、日本歌曲、古楽などの言葉と声の問題を語る。フスラーの構音法を軸に訓練を行っていく。)          

・身体性の強化、解放、神経伝達とバランスの回復(野口体操とハタヨーガのアサナを中心に声の自在性を支えるための自然体を身に付ける事を軸に進んでいく、他に肥田式身体鍛練法、アレキサンダーテクニック、岡田式正座法、立禅、野口整体、足裏刺激リフレクソロジー、暗黒舞踏、フェルデンクライス身体訓練法について語る)     ・聴く力(コダーイシステムやトマティスの聴覚セラピーを軸とした様々な音楽療法や禅の片手の音声、第3の耳等聴く事の重要性を説く。また17世紀、18世紀の歌い手の山びこ訓練法やカルーソーのインタビューによる声を育てる上での聴く力の最重要性と脳力との関連を説く)

・脳力(能力)の開発(声と脳の関連やホルモンと声の関連、テストステロンと声の関連を探る。瞑想、禅、息吹永世、様々なヨーガとチャクラについて、ホメオパシー、ホリスティック医学、気功、第3の目、悟り、三昧、光明、エンライトメント、エドガーケイシー、ブラバッキー婦人、グルジェフのムーブメンツ、鈴木メソッド、シュタイナー教育、スタニスラフスキーシステム、マイケルチェーホフのメソード、リーストラスバーグのメソード演技、シノザキシステム、ルコックシステム、脳生理学、と様々な面から声の自在性を支えるための能力開発を試みる。またイタリアのカストラートやその源流でもあるインドのヒジュラ等の去勢歌手にもふれる)

・精神の絵画(メンタルコンセプトやメンタルピクチャーといわれてきた概念であり音声美学の構築を主軸とする。また声の自在性を支える創造性と想像性を養うために行うべき事を紹介する。様々なジャンルの歌や器楽を聴く重要性、演劇、舞踏、等の舞台芸術、絵画、彫刻、建築、陶芸等の美術品、魯山人の美食哲学、西洋哲学、東洋哲学、精神医学、宗教と音声表現を支える肥やしになる想像力と創造力を刺激する様々な古今東西の文化、芸術、精神世界を語り尽す。また器楽奏者や指揮者も歌っているという事と声帯の自発振動説の関連や教会や仏教寺院の建築物と声の関連も語る)        

・世界の声(いわゆる世界音楽的な切口で世界中の声について生理的側面、音響的側面、美学的側面から語る。クルトザックスのタンブリングストレイン、ホリゾンタルメロディ。コダーイのわらべ歌やウアソングの概念アランロマックスのカントメトリックシステムや小泉文夫氏の理論を軸に探る。)                

・世界の名歌手の声(ラターマンゲシュカル、アーシャーボースレー、スップラクシュミー、ヌスラットファテアリーハーン、ウナクルスーム、アマリアロドリゲス、ピアフ、ビィッラ、エルフィスカエシ、ユーマスマック、ファイルーズ、カルロスガルデル、美空ひばり等その国柄を象徴する名歌手やクラウス、ジーリ、カルーソー、ドミニクビス、エマーカクビー、シャリアピン、フィッシャーディスカウ、マリアカラス、グルベローバ、パバロッティ、ドミンゴ、等の西洋クラッシックの声楽家やキングスシンガーズ、セクエンツィア、シャンテクリア、等の古楽のボーカルアンサンブルについて生理的側面美学的側面から語り尽す。また現代音楽における西洋音楽における楽音の基準の変化をタンドゥンやケージから考える。他にもポクロフスキーアンサンブルやヒュータヤットについても語る。尚中村とうよう氏の考えはワールドミュージック的な発想の中ではかなり主軸になり展開してゆくものと思われる)

・欧米のポピュラー音楽における声(いわゆる近年最も商業的に活発化したジャンルであるがその歴史の源流のブルース、ゴスぺル、カントリーウエスタンからジャズやロックンロール、ブリティッシュロック、ハードロック、メタル、グランジ、AOR、ソウル、リズム&ブルース、ファンク、等様々な欧米ポピュラー音楽の声をみる。またフランクシナトラやビンククロスビーのクルーナー唱法の声も探っていく)

・日本の声(日本人の声の美学と歴史を辿る。神道の祝詞、声明や梁塵秘抄の今様、様々な大道芸人や物売りの声、民謡、能、狂言、歌舞伎の声、清元、長唄、義太夫、説教節、デロリン祭文、盲僧琵琶、講談、落語そして日本的音声美学の集大成ともいえる浪花節の桃中軒雲右衛門等の日本の古典の声から日本の西洋声楽家の三浦環、田谷力三、藤原義江、関屋敏子、四家文子、山路芳久、柳兼子、や流行歌手からは藤山一郎、平井英子、淡谷のり子、笠置シズコ、エノケン、クレイジーキャッツ、坂本九、アキレタボーイズ、越路吹雪、美空ひばり、雪村いずみ、江利チエミ、北島三郎、三波春夫、ミッキーカーチス、石原裕次郎、西城秀樹、キャロル、尾崎きよひこ、カルメンマキやJPOPSのサザン、ミスチル、久保田利伸、ASKA、B'z、ビジュアル系の声、ユーミン、陽水、山下達郎、佐野もとはる、浜田省吾、宇多田ヒカル、Misia、ドリカム、平井賢等の様々な日本の声をとりあげる。また話芸の名人徳川夢声もとりあげる)

・超能力歌手と梵声(元来ラテン語及び多くの言語で歌い手と呪術師は同義語であった。それゆえ古い伝説や神話には超能力のような歌唱を行ったとする記述が数多くみられる。オルフェオの超能力歌唱、ダビデの超能力歌唱、ミューンタンセンの超能力歌唱、ファリネッリの超能力歌唱、梁塵秘抄の中の超能力歌手とその超能力歌唱等をとりあげ歌と呪術、シャーマニズム、宗教儀礼の関わりを再びとりあげサブダブラフマンとの関連性や我々が声を出す前にすでに声が私達や世界を創造しているのだという事へと結びつけてゆく)

※あとがき        歌うことは何のためにあるのか?世界中の歌を聴いた小泉文夫氏は「生きるためだ」と答えた。それはベッタ族やエスキモー、ピグミー等の原始的民族の歌を聴いた当時の小泉文夫氏の感想だった。それは人の集団の和を育むものであり決して一人では生きていけない者達にとってそれらの歌はまさに生命そのものだったのである。人がここまで社会を発達させたのは言葉のお蔭であり声のお蔭であると言っても差し支えないであろう。わずか2cm程度の声帯が一秒に何百回もの振動を休まずおこし、人は数々のコミュニケーションの蓄積で歴史を形成してきたのである。人はマインドも他者も外界も全て言葉で解剖しマインド自体も言葉でうめつくしていったのである。音声学的にもこれらは内言語や内声と言われているが、人は原初的な歌を忘れた代わりに言葉とマインドを発達させてきた。喉頭の生理学的構造を探ると話し言葉の前に歌う事があった事が解る。歴史的にみてもそうである。我々が常識と思っている言葉〜歌ではなく、歌〜言葉こそが順序として生理に叶っているのである。そして喉頭の更なる原初の機能は器官を守る事であり、音響音声学者のスンドベルィは喉頭を呼吸器官の門番と表現している。それは喉頭が命を守るため、生きるための機能を果たしている事の適切な表現である。喉頭は日本で喉仏、欧米ではアダムのリンゴと呼ばれてきており二大宗教に関わる呼び名である。また元来歌い手と呪術師は同義語であり、世界中で超能力的歌唱を行ったとする歌い手や呪術師の記録は多く残っている。今も世界中の宗教の中で祈りの声は最も重要な要素であり続けている。それはイデーや哲学を超え真理そのもので在ろうとした宗教が真理そのものの『無音の音声』に近付く媒体として声を使ったのは自然な成り行きであったのだと思う。過去の聖人達は世界が『無音の音声』から創造された事を知っていた。そして量子論の科学者達は過去の聖人達が言った事が真実であった事を解明しつつある。世界のあらゆる次元は『無音の音声』により創造されている。それは我々人が見付ける前から在ったものであり我々はただ発見したに過ぎない。そして恐らくは人が神と呼んだ世界に法則性を持たせる統一場こそが『無音の音声』なのである。世界の宗教が祈りの声を重視したのも『無音の音声』に音楽的調和を持たせるためである。近年の音楽療法の発達も根源的にはここからきているのである。世界の歴代の偉人達は語る「全ての乱れは音楽的調和の乱れである」と一日も早く世界が音楽的調和を取り戻す日を願っている。そして世界が歌い続けてくれる事を心より願う・・・。