その他の音声表現について

・もの売りの声
  日本のもの売りの声はもとよりイランやトルコのもの売りなども聴いてみるとおもしろい。
  これも極めて人の歌の源初の形を知る上での重要な手がかりの一つであると思われる。

・演劇の声
  演劇のジャンルにおける声の使い方の違いを聴く事をお薦めする。新派、新劇、小劇場とでは
  声の使い方が変わってくる。新劇では基本的にベルカントに近い発声で行われ、喉頭の位置
  は極めて低めである。小劇場では閉鎖が強めの人が多くハイラリンクスの人が多い。また言葉
  をたてるため極めてぶつぎりの音節歌唱的な語り口となる。平田オリザや岩松了などの会話劇
  においてはミディアムラリンクスで行われる事が多いようである。また活弁師達の声を聴く事も役
  者の声の歴史を知る上で重要な手掛りになる事を付け加えておく)

・能楽の声
  能楽における声は当時の武士達の理想とされる声だったと言われている。能楽を創始した世阿弥
  の「風姿花伝」は今もってその輝きが失われていない至高の芸能理論書であるが発声についても
  細かい洞察が行われている。) 

・歌舞伎の声 
  歌舞伎役者の発声は生理的に理に叶っている側面を持っている事は確かであろう、彼等は台詞の
  中で裏声を多用するからである。それにより声帯靭帯が輪状甲状筋の作用により引き伸ばされ、そ
  の良い影響を胸声にも与える事が出来るからである。かつて大歌手、美空ひばりさんにもスランプが
  あった、その時に作曲家の船村徹が哀愁波止場で裏声を使わす事する事により、ひばりさんスラン
  プを脱したという。歌舞伎の役者達にも同じような裏声の恩恵があるように思われる。

・声優の声
  声優の声の歴史の移り変わりもおもしろい、日本の声優の歴史はラジオドラマから始まっている。か
  つての日本人は全体的にハイラリンクスが多かったように思われる。現代の声優達はハイラリンクス、
  ミディアムラリンクス、ローラリンクスを使い分ける事により声の色を操作している特に一人の声優が
  そのキャラクターの子ども時代と青年期の声を演じる時は非常に分かりやすい。野沢雅子さんが、ド
  ラゴンボールの最後の方では一人三役も四役もこなしていたが素晴らしい名人芸である。野沢雅子
  さんも意識するしないに関わらず。生理的にはラリンクスの位置の調整により様々な声の色を創りだ
  していたのです。
・アナウンサーの声
  アナウンサーもバラエティーやニュースやスポーツ解説等によりやや声の色彩が変わるようである。
  アナウンサーもかつては古典落語に近い、ややハイラリンクス気味の声が多かったが近年欧米の影
  響からかローラリンクス気味で話す人が多くなってきたように思われる

・日本の放浪芸の数々、徳川夢声の朗読、パパタラフマラ、巻上公一等も聴くと良いだろう。

偉大なる 名歌手達でとりあげられなかった歌い手で素晴らしい人達を何人か紹介したいと思う。          ・

・美輪明宏は和製シャンソン歌手としてシンガーソングライターとして役者として演出家として作家として舞
台美術家として活躍する総合芸術家であるがその表現力はダントツである。声区融合は極めて特種なされ方をしており揺れ声気味であるがそれも逆に彼の表現力の豊かさに拍車をかけているように思う。私個人の意見としては彼のボンボヤージュは正に最高傑作の名にふさわしい至高の作品の一つである。

・ボビーマクファーリンは声の可能性の追究のうえで欠かせない存在である。彼の声はパーカッション、管
 楽器、弦と自由自在である!

・ユーマスマックも声の可能性の限界にまで達した一人であると思う。彼女の声は深い胸声から頭声さら
 にはフラジオレットレジスターまで自在である。また喉頭の位置も自在に変化させ曲によりハイラリンクス
 〜ミディアムラリンクス〜ロウラリンクスへとまさに自在であった彼女の声域は6オクターブ以上あったと
 いうから正に驚異的である。

 ここに挙げた歌手や音声表現者以外にも素晴らしい歌い手や音声表現者は沢山います。皆さんも自分の知恵と労力で素晴らしい歌い手や音声表現者を発掘してみて下さい。そしてそれがあなたの肥やしとなり、あなた自身の声や音楽性、芸術性を驚くほど豊かにしてくれる事は間違いないでしょう。そして終わりなき音声探究の道を歩み続け、素晴らしい歌を歌い続けて下さい・・・。
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